敗れざるもの (1964)

石原慎太郎の“小さき闘い”より、山中恒が脚色、松尾昭典が監督した社会ドラマ。撮影は横山実。

監督: 松尾昭典
出演:石原裕次郎、小倉一郎、宇佐美淳也、三宅邦子、十朱幸代、清水将夫、山形勲、大坂志郎、河上信夫

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敗れざるもの (1964)のストーリー

高村家のお抱え運転手、橋本鉄哉(石原裕次郎)が、高村家の長男中学二年の俊夫(小倉一郎)の眼がおかしいと気づいたのは、天体観測台で星をながめていた時だった。新しい天体望遠鏡のレンズが曇っていると言ったり、物にぶつかったりするさまは、病気としか思えなかった。木崎医師(大坂志郎)のすすめで大学病院で診察を受けた俊夫は、現代医学で最も難病と言われる脳腫瘍であると診断された。塩見(清水将夫)、沖山(山形勲)両博士の執刀により八時間を越える大手術は無事終了した。結果は全部を切除することは出来なかったが、まず成功したと語られた。

高村家で最も親愛する俊夫の難病に、鉄哉は心をいため、毎日病室を訪れた。ある日、看護婦詰所に行った鉄哉は、隣室で沖山博士が、俊夫の病状は現代医学では助かる見込が皆無だと話すのを聞き驚愕した。俊夫は退院を許され、保護帽をかぶって通学を始めた。だが俊夫の病状が進んでいることは鉄哉にもわかった。病魔は眼から足に来て、ついに右手は動かなくなっていた。そんな日、俊夫の再手術が行われた。再び退院する日、俊夫は思いつめた表情で鉄哉に自分は助かないだろうということを知っていると話した。俊夫は不用意に話す看護婦の話を聞いたのだった。鉄哉は病魔と閥う幼い生命力に、言い知れぬ感動と、医学の限界に押えきれぬものを感じた。残された日を何でも見たいという俊夫の言葉に地下鉄工事現場に連れていった鉄哉は、昔ダム工事で同僚であった川瀬(小林昭一)に逢った。それから数日後、高村家に、鉄哉が酔った同僚を過失から死に追いやったという怪文書が届いた。激怒して、出て行って欲しい、と言う高村夫妻を俊夫は必死にひきとめた。不自由な身体で天体観測に登る俊夫を助ける鉄哉に、俊夫は星になりたいとつぶやいて、数日後、昏睡状態におちいった。死に大きな疑問をもっていた俊夫は、今ようやくその意味をさぐりながら深い眠りにおちた。小さき闘いに終りを告げた俊夫に、鉄哉はある感動を覚えた。

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