あじさいの歌 (1960)

石坂洋次郎の原作を池田一朗が脚色、滝沢英輔が監督した青春もの。撮影も横山実。

監督:滝沢英輔
出演:石原裕次郎、芦川いづみ、東野英治郎、轟夕起子、大坂志郎、小高雄二、中原早苗、杉山徳子

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あじさいの歌 (1960)のストーリー

のどかな春の一日、若き商業デザイナー河田藤助(石原裕次郎)は散歩の道で、足をいためた源十郎老人(東野英治郎)に会い、背中に負って送ったが、老人はまるで背負わせてやるのだといわんばかりに、藤助の背で威張っていた。源十郎の家は古い北欧風の洋館だったが、藤助を驚かせたのは源十郎の娘けい子(芦川いづみ)の美しさであった。時代遅れの服装の妙に合う優雅な風情である。源十郎が病院に出かけた後、藤助は再び邸を訪れた。快く迎えるけい子を藤助はあじさいの花の傍で写真に収めた。けい子の母いく子(轟夕起子)は、昔、夫の会社の若い社員藤村と駈け落ちした。源十郎は以来けい子を外に出さず、家庭教師の葉山先生(杉山徳子)がけい子の知るただ一人の外来者だった。藤助の出現はけい子になんと感動を与えたことだろう。源十郎と葉山先生の提案で、けい子には島村のり子(中原早苗)という若い女子大生の友達も出来た。のり子の兄幸吉(小高雄二)も現われた。

藤助の写したけい子の写真が「あじさいの歌」と題して展示された時、けい子は会場でその写真を欲しがる中年の男に会い、ふと母親に関係があるのではないかと思った。新聞記者の幸吉は追ったが、男は消えた。のんびり屋の藤助も鋭い幸吉も共にけい子を愛した。のり子は藤助を愛したが、淋しかった。デパートの男はやはり藤村(大坂志郎)だった。大阪であいまい宿を営むいく子は東京で旅館を経営しようと上京したが、貧血で倒れ、藤助に背負われた。いく子の買おうとした旅館が源十郎の会社のものだったことから、けい子の父と母は再会した。けい子は母親であることを語ったが、いく子は唯友達でいたいという。いく子はけい子の三人の友達に会い、藤助とけい子の間にめばえた美しい青春を祝った。源十郎の洋館が藤助の手で大改造されることになった。源十郎とオールド・ミスの葉山先生のおそい春にも花が咲いた。二度と訪れることもないであろうこの家の庭に立って、いく子は深い思いにふけった。早春の暖い日ざしが古い館の庭に立つすべての人を柔く包んだ。

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