甦える大地 (1971)

見渡す限りの荒地を、一大工業地帯にしようと夢みる男たちが、生臭い欲望がうずまく中で、純粋に理想を実現する勇気を、茨城県鹿島灘の臨海工業地帯をバックに描く。原作は木本正次の「砂の架十字」。脚本は猪又憲吾。監督は中村登。撮影は金宇満司がそれぞれ担当。

監督:中村登
出演:石原裕次郎、司葉子、三國連太郎、浜田光夫、川地民夫、寺尾聰、下川辰平、岡田英次、志村喬、滝沢修、渡哲也

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甦える大地 (1971)のストーリー

寛保・弘化の利根川大洪水をはじめ、度重なる水害に鹿島の農漁民は致命的な打撃をうけていた。水戸の郷士中館広之助はその難を救おうと、原住民を集め治水工事に励んだが、大利根の脅威は彼の雄図を打ち砕き、中館は自殺。人々は彼を狂人と呼んだ。

それから数百年。荒凉たる大砂丘、吹きすさぶ砂の嵐、貧しく崩れ落ちそうな民家、不毛の鹿島は変ることがなかった。が、近年に至り、理想家の茨城県知事、岩下三雄(岡田英次)を中心に、鹿島開発の気運が盛り上った。岩下とその下に働く開発職員で熱血漢植松一也(石原裕次郎)の必死の奔走も、中央には聞き入れられず、一時は無為に帰すとも思われたが、ふたりの熱意は建設省の辣腕家野田鋭介(三國連太郎)を次第に動かした。待望の国家予算が計上され、鹿島開発がスタートしたが農漁民の土地への執着は、開発工事を進めるには大きな壁となった。精力的に動きまわる植松の前にも、住民の抵抗がおき、植松の心をとらえた気の強い女教師添島美奈子(司葉子)もそうした住民のひとりだった。一方岩下知事は開発の第一段階としてS金属の誘致を図ったが、S金属の会長は岩下に同調しながらも、鹿島進出は自社の社運をかけるものであるとし、試験堤を要求しこれを完成させた。が、台風は容赦なく試験堤を襲い、叩き壊した。しかし、S金属はこの一見無謀とも思える開発事業に調印し、やがて野田が茨城県開発部長として乗り込んで来た。実務者野田は、理想家肌の岩下、植松とぶつかりながらも、着々と開発事業を押し、鹿島町長権藤(志村喬)の抵抗もものともせず、困難な土地買収をやり遂げた。鹿島コンビナートは、次第にその巨大な姿を現わしていったが、植松が頭に描いた“緑の楽園”とはあまりにもかけ離れたものだった。農業団地に林立するバー、スナック、パチンコ屋、そこに群がる人々の間に乱れ飛ぶ札束。赤々と燃えるコンビナート。造りあげた人間の意志には関係なく日増しに膨らんでいく、得体の知れない化物。炎が、傷ついた植松の五体を赤く染める。やさしく寄り添う美奈子。植松の怒りをよそに、彼らの手を離れて大きく歩み出すコンビナート。人工港が美しく、その彼方に青い鹿島灘が拡がっていた。

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